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薬剤関連顎骨壊死について |兵庫県川西市の歯科「市川歯科医院」

高齢化が進む中、様々な診療科の病院に複数かかっている方は少なくありません。
そういった方の歯科治療、特に出血を伴う外科処置を行う際に注意が必要なのが、抗血栓薬を飲まれている場合です。
抗血栓薬を処方されるに至った病因(心疾患や脳血管障害)の程度によっては、かかりつけ医との連携が欠かせません。それに加えて近年、問題になってきているのが『骨吸収抑制剤による顎骨壊死』です。
骨吸収抑制剤とは、「骨粗しょう症の治療薬」というとわかりやすいかと思います。
この骨粗しょう症治療薬を使用する患者さんに抜歯などの歯科治療を行うと、抜歯した箇所から顎の骨が壊死する症例が報告されるようになりました。
最近では、がん治療薬の血管新生阻害薬でも顎骨壊死が発症したとの報告も出てきています。

骨吸収抑制剤投与患者の抜歯は顎骨壊死のリスク因子とされていると、先ほども述べました。
しかし、顎骨壊死を恐れて明らかに保存困難と判断される歯までを保存することは、その歯の根尖や歯茎周りからの歯周炎が顎骨壊死のリスクとなる場合もあるのです。

薬剤関連顎骨壊死に対する治療ガイドラインでは、骨吸収抑制剤投与を4年以上受けている場合、あるいは4年未満でもリスク因子を有する骨粗しょう症患者の抜歯を行う場合には、骨折リスクを含めた前進状態が許容すれば、抜歯の前後2か月の休薬について医科主治医と協議・検討することを提唱しています。
しかし、休薬の効果に関しては未だ確証は得られていないのが現状です。

また、薬剤関連顎骨死には口腔内常在菌が関与しているとされるため、骨吸収抑制剤を投与開始・投与中の患者さんは特に口腔衛生状態を良好に保つことが重要です。

薬剤関連顎骨壊死を発症してしまった場合の対応は、壊死の進行状況に応じて洗浄や抗菌薬の投与などの保存療法や壊死組織を除去する外科療法を選択します。
また、骨吸収抑制剤に関しては、医科主治医に相談し、休薬もしくは薬剤の変更が可能かを検討します。

先日、患者さんから「医科の先生から骨粗しょう症のお薬を出そうと考えているけれど、出してもいいか歯科の先生に聞いてきて、と言われた」と相談がありました。
この患者さんの口腔内環境は現状では安定しているが処置歯がほとんどであり、投与開始後に抜歯とならない保証はありません。
骨粗しょう症のレベルを確認するデータや専門知識が不足する中、将来起こりうるかもしれない骨折のリスクと顎骨壊死のリスクを天秤にかけることは非常に困難と言えます。

骨吸収抑制剤や血管新生阻害薬は、骨粗しょう症患者やがん患者にとって大変有益なお薬です。
歯科医師としては、薬剤の使用によるメリット・デメリットを丁寧にお伝えし、良好な口腔内環境を提供し、適切に医科と連携をとっていくことが大切であると考えています。

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