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たばこ害を歯科の点から考える|兵庫県川西市の歯科「市川歯科医院」

先日の日本経済新聞に『たばこ害 総損失2兆円超』という気になる記事がありました。
厚生労働省研究班の推計で、たばこ害による2015年の総損失額は2兆500億円に上ることが判明したというものです。
その内訳で最も多かったのは喫煙者の医療費1兆2600億円で、損失額の半分以上をしめており
中でもガンの医療費は5000億円を超えていました。

そして、歯科医師として興味深かったのは「歯の治療費には1000億円かかった」という報告です。
喫煙とガンの関連性は広く認知されていますが、喫煙によってガンの5分の1もの医療費が歯科に費やされているということは一般的に認知度が低いのではないでしょうか。

喫煙と歯周病の関連性とは

では、喫煙によってなぜ歯科治療が必要になってしまうのでしょう?
喫煙と関連性の高いお口の病気で真っ先に挙げられるのは「歯周病」でしょう。
タバコに含まれるニコチンは、体中の末梢血管を収縮、変形させる作用があります。
ニコチンを大量に含んだタバコの煙にさらされた歯茎の血管は固く、細くなってしまうため、血のめぐりが悪くなります。
歯周病の原因である歯周病菌に抵抗する免疫細胞や、歯周病菌によって傷ついた組織を修復する因子は血液にのって運ばれますので、
血流が悪くなると歯周病が進行し易くなるのは容易に想像がつくでしょう。

また、タバコの煙にはニコチンの他にも一酸化炭素が大量に含まれています。(タバコの一酸化炭素濃度は自動車の排気ガスと同程度)
一酸化炭素は血液中のヘモグロビンとの結合力が酸素の約240倍と強く、ヘモグロビンによる酸素の体中への運搬を邪魔するので、各組織への酸素の供給が不足してしまいます。
また、ビタミンCの消費量を増大させる作用もあり、結果として歯茎にメラニン沈着(歯茎が黒ずんでしまう)や傷ついた組織の治癒の遅延を引き起こします。
喫煙者の歯茎は黒く、ハリのない歯茎になるので、歯茎を一目見て喫煙者とわかることも少なくありません。

さらにタバコの煙には、ニコチン、一酸化炭素の他にも200種類以上の有害物質が含まれ、その60種類以上に発ガン性があるとされています。

受動喫煙でも歯周病になる!?

タバコは嗜好品として見なされているところがありますし、他人の趣味・嗜好にとやかく言うのは避けたいところです。
しかし、タバコから出る「副流煙」は受動喫煙で他人に悪影響を与えることは周知のとおりであり、嗜好品として問題です。
副流煙は、喫煙者が吸い込む「主流煙」に比べて、ニコチンは約3倍、一酸化炭素は約5倍も多く含んでいるのです。
副流煙を日常的に吸って生活している家族や子供も歯周病のリスクが高まりますし、子どもの歯茎が黒ずんでしまうことすらあるのです。

先述の推計でも、受動喫煙によってなんと3300億円もの医療費がかかってしまっている残念な事実があります。

喫煙はニコチン依存症であり、依存症からの脱却の難しさはは色々な場面で知り得るところです。

しかし、歯周病治療やインプラント治療には「禁煙」は欠かせません。
タバコは『お口に百害あって一利なし』であることは明白です。
歯科の立場からも、適切な情報提供をして禁煙のサポートをしていかなければなりません。

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