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歯ぎしり・くいしばりとマウスピースについて|兵庫県川西市の歯科「市川歯科医院」

2020.02.25

歯ぎしり・くいしばりとマウスピースについて|兵庫県川西市の歯科「市川歯科医院」

歯医者さんで作るマウスピースとは?

歯医者さんでマウスピースを保険治療で作れることをご存知でしょうか?
マウスピースといえばスポーツ用を思い浮かべる方が多いでしょう。
スポーツ用マウスピースは、ボクサーなどの格闘家や、ラグビーなどコンタクトスポーツをする選手がお口にはめて外傷から歯を守るアイテムです。
一方、歯医者さんで主に作製するマウスピースはナイトガードとも呼ばれ、名前のとおり夜間就寝中に装着して歯や顎関節を守る装置です。
ナイトガードは何から歯を守っているかというと、就寝中に無意識に行う歯ぎしりやくいしばり(総じてブラキシズムと呼びます)による異常な咬合力です。
くいしばりでは、個人差はありますが、なんと60~80kgもの力が歯にかかるとされています。
ある研究結果では、くいしばりは続けられても2~5分程度と言われており、それ以上長く行うと、顎に痛みを感じてそれ以上続けることは困難なのです。
それぐらい強力な咬合力が就寝中はセーブされずにかかるので、顎関節や顎を動かす筋肉、そして歯に多大なダメージを与えてしまいます。

ブラキシズムと歯の喪失

では、こうした多大なダメージが『歯を失うこと』にどのように影響しているのでしょうか?
歯を失う原因の一番目は歯周病、二番目はむし歯と言われています。
歯周病もむし歯も、歯周病菌やむし歯菌による感染症です。
菌が原因なのであれば、菌がたまりにくいよう適切な口腔清掃と食習慣を徹底すれば歯周病やむし歯は予防でき、歯を失わずに済むといえます。
しかし、プラークコントロールを徹底しても歯を失う結果になってしまうことも多く、それは歯周病やむし歯の進行にブラキシズムが密接に関係しているためとも言えます。

歯周病は、歯周病菌にる炎症で歯を支える歯周組織(歯槽骨や歯肉)がなくなっていき、支持組織を失った歯がグラグラして抜け落ちてしまう病気です。
支持組織を失った歯にブラキシズムによる過剰は力が加わると歯周病菌による炎症が助長され、歯周病の進行を速めてしまうのです。

むし歯は、むし歯菌が出す酸によって歯が溶けていく病気です。
歯はエナメル質と呼ばれる比較的酸にも溶けにくい硬い組織に覆われています。
しかし、ブラキシズムによってエナメル質に亀裂やすり減りが生じると、そこからむし歯菌が侵入し、むし歯が進行してしまいます。
また、むし歯が進行し神経をとった歯はもろくなるため、ブラキシズムによる過度な力がかかると破折してしまって抜歯に至ることもじばじばあります。

すなわち、歯周病やむし歯の原因として『ブラキシズムによる過度な咬合力』が大きく関与しており、この予防にナイトガードによる力のコントロールが重要ということなのです。

ナイトガードの現状と今後

こんなに大切なナイトガードですが、現状として患者さんに浸透しているかというと、残念ながらそうではありません。
これは歯科医師と患者さん双方のブラキシズムとナイトガードに対する知識不足と、患者さん自身が就寝中のブラキシズムを自覚しにくいこと、その悪影響がすぐには顕在化しないことによると考えられます。
恥ずかしながら、私たち歯科医師も歯科学生時代にブラキシズムやナイトガードの存在について勉強はしますが、ブラキシズムの恐ろしさやナイトガードの適切な作製方法、調整方法を知らないまま卒業することがほとんどだと思います。
私もその一人で、日々の臨床を通してプラークコントロールと併せて力のコントロールの重要性とその難しさに悩み、試行錯誤してきました。
以前参加した卒後研修会JIADSで、ナイトガードの重要性、作製法、調整法を実習も交えて研修する機会を頂き、自分のなかで納得するナイトガードを提供できるようになってきました。

ブラキシズムによる影響を自覚しにくい患者さんに、異物をお口にいれて寝ることはそう簡単に受け入れて頂けるものではありませんし、自分自身も使用してみて継続する難しさを実感しています。
患者さんへの適切で地道な情報提供によって、モチベーションを高め、患者さんのお口の長期的な健康に貢献していきたいと考えております。

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