こんばんは、歯科医師の市川雄一です。
先日、高校時代の同級生の披露宴に出席してきました。
同業者である歯科医師が集まる披露宴に出席する機会が多いのですが、この度は他業種に従事する友人の話も聞けて、とても新鮮な時間を過ごせました。
歯科医師は私だけでしたので、友人から歯に対する質問をうけました。
内容はというと、「2ヶ月も歯医者に通ってるのにまだ治療が終わらない」「俺は2ヶ月も歯を磨かなかったけど虫歯にならなかった」「洗口液を使っていれば歯を磨かなくても良いんでしょ?」などなど。
歯の正しい手入れの知識がまだまだ普及していないのだな、と改めて実感しました。
まずは2ヶ月も歯を磨かなくても虫歯にならなかった彼について。
虫歯は、お口の中に住んでいる虫歯菌が、食べカスに含まれる糖を元に酸を産生し、その酸によって歯が溶けることにより発症します。
中には、虫歯菌がお口の中に住みついていない、もしくは少ない方が稀におられます。
この場合、虫歯の原因となる虫歯菌がいない、もしくは少ないため、エサとなる食べカスが残っていても虫歯を発症しにくいのです。
彼はこのケースである可能性が高いでしょう。
しかし、大抵の方が虫歯菌を抱えているので2ヶ月も歯磨きをされないと、きっと虫歯になるはずです。
歯磨きを怠ると虫歯になるのは当然と言えるでしょう。
(ちなみに、産まれたばかりの赤ちゃんのお口の中は虫歯菌はおらず、他者から唾液などを介して感染すると考えられています。
そのため、親兄弟との食器の使い回しは控えることが推奨されています。)
「洗口液を使っていれば歯磨きをしなくても良い説」も良く聞きますよね。
しかし、これも大きな間違いです。
食べカスを元に集まった虫歯菌や歯周病菌はペリクルというバリアーを作って、歯の表面に張り付いています。
こうして張り付いた菌の塊を、歯垢やプラークと呼びますが、歯ブラシやフロス、歯間ブラシによる機械的な力によらないとほとんど除去できません。
歯ブラシ等によって機械的に歯垢を除去した上で洗口液を用いることで、洗口液の薬効成分が効果的に作用するのです。
あくまで、洗口液はお口のお手入れのプラスαと考えて頂ければと思います。
歯ブラシの適切な当て方、フロスや歯間ブラシの使い方などは、実際に歯科衛生士の指導を受けて習得されるのが一番の近道です!
お口のお手入れ上手になって、虫歯や歯周病に罹りにくい人生を送りましょう!
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