歯科ブログ

酸蝕症について

2020.07.12

コロナウイルスの終息まで当分時間を要しそうで、多方面でウィズコロナをどう生き抜くかと言われています。
歯科におけるコロナウイルスの影響は日々の診療だけでなく、沢山の人が集まる学会や講習会にも出ており、軒並み中止や延期となっています。
その代わりに、ZOOMなどを用いたWebセミナーが多く催されるようになってきています。
私も何度か参加してみましたが、慣れると意外と良いものです。
今まで必要だった現地までの移動時間がかかりませんので、診療を早めに切り上げたりする必要がありません。
場所も選ばないので、自分の好きな環境で落ち着いて勉強することも出来ます。
しかしながら、以前行なっていたような模型や豚骨を用いた実習ができませんので、講義から得た知識を実践に移すことが難しい面もあります。
Webセミナーの益々の発展を期待しつつ、何より今までのような臨場感溢れる講習会の再開を願ってやみません。

さて本題ですが、前回のブログでは”う蝕”について取り上げました。
歯が溶ける病態には、う蝕の他にも『酸蝕症』があります。
う蝕は、細菌が砂糖などの発酵性炭水化物を元に出す酸によって歯が溶ける病気ですが、
酸蝕症は、細菌の関与がない酸による化学的な歯の溶解を指します。
こうした酸とは、私たちが日々摂取している柑橘系果実や酸性飲料を指します。
例えば、レモン(pH値2.1)、コーラ(2.2)、栄養ドリンク(2.3)、黒酢飲料(3.1)、
スポーツドリンク(3.5)、ワインやビール(3.9)、野菜ジュース(4.0)となっています。
pH値7未満を酸性としますので、日々摂取する飲料でお茶・お水・牛乳以外ほとんどが酸性ということです。

 

つまり、歯の一番表層の組織であるエナメル質が溶けるとされる臨界pH値は5.5とされていますので、ほとんどの飲食物が酸蝕症になるリスクをはらんでいると言えるでしょう。
そのため、ある疫学調査では4人に1人の割合で酸蝕症に罹患しているとの報告もあります。

では、リスクの高い食習慣を取り上げてみましょう。
1,健康・美容のために柑橘類や酢を毎日とる
2,運動の際にスポーツドリンクを頻回に摂取する
3,晩酌でお酒をダラダラと飲む
4,乳幼児に哺乳瓶やストローを使ってジュースを飲ませる(前歯の裏側に集中的に酸が触れてしまう)

もちろん運動中のスポーツドリンクの摂取は熱中症予防に大切ですし、健康に良い飲料物や嗜好品としてお酒は欠かせません。
もし飲まれる場合でも、過剰摂取を避ける、ダラダラ飲みを避ける、最後にお茶・お水でゆすぐ、などをするだけでも効果はあるでしょう。

また、意外と見逃されがちですが酸蝕症の主な原因の一つとして胃酸があります。
胃酸のpH値は1〜2と強酸を示し、お口に逆流することで酸蝕症を引き起こします。
具体的には、逆流性食道炎、拒食症、摂食障害、アルコール中毒などがあげられ、診療時の問診等でも把握が困難なことも多く注意が必要です。

酸蝕症は、夜間の歯ぎしりや食いしばりによる咬耗があると、それらの進行を早めてしまったり、う蝕との同時進行
で歯の溶解が一層進んでしまいます。

一度、ご自身の食習慣を振り返ってみて頂くとよいでしょう。

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市川雄一

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