歯科ブログ

ファイバーポストを用いたレジン支台築造について

2020.08.02

今回はファイバーポストを用いたレジン支台築造(ファイバーコア)についてお伝えします。
支台築造(コア)は、虫歯が進行してそのままでは被せ物が入れられない歯の根に、土台を立てることを指します。
支台築造の際には、土台の維持のために根の中に”杭”のような部分(ポスト)を差し込むので、これが一般的に”差し歯”と呼ばれる理由です。

以前は支台築造には銀合金を用いたメタルコアが主流でした。
しかし、最近ではレジン(歯科用プラスチック)を用いたコアが中心となってきており、2016年からはポストにグラスファイバーを併用したレジンコアが保険適応となって益々普及が進んできています。

 

 

 

 

 

 

 

 

では、金属ではなくレジンとファイバーポストを用いるメリットは何でしょうか?
最大のメリットは、歯根破折のリスクの軽減です。

歯根破折は支台築造に起因するトラブルとして特に多く、抜歯に繋がる可能性が高くなります。
金属は歯根に対して硬すぎるため、咬合力が加るたびにポスト部分が楔を打ち込むように作用し、歯根に負担がかかります。
一方、ファイバーポストは歯根の弾性係数と近いため、応力集中が起こりにくく、歯根破折のリスクを軽減するとされています。

ファイバーポストを用いたレジンコアのその他のメリットとしては、
・白色や半透明であるため、白い被せの色調を阻害しにくい
・腐食抵抗性が高く、歯質が黒く変色しにくい
・金属アレルギーの心配がない
・メタルコアに比べて切削しやすく、根の再治療時に歯質の削除量を最小限に抑えられる
・型を取らなくても直接お口の中で支台築造できるので、来院回数を減らせる

などもあります。

つまり、メタルコアに比べて、歯に優しく、審美的にも優れていると言えます。

もちろん、完全無欠の支台築造は存在しませんし、患者さんの要望や歯の部位、歯質の残存状態によって適した術式を選択することが大切です。
また、歯根破折のリスクには、支台築造に用いる材料だけでなく、過不足ないポスト孔の形成や、コアの歯根への適切な接着操作など、さまざまな工程が関与してきます。
皆様の歯の保存のためにより良い治療を提供していきたいと考えています。

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