歯科ブログ

根の治療(感染根管治療)について

2020.08.26

“根の治療”について聞かれたことや、実際に治療を受けられたことはありますか?
この根の治療は、私もほぼ毎日行うと言ってもよいほど一般的な治療です。
しかし、根の治療が何をする治療なのか、なぜ治療する必要があるか、を患者さんに理解して頂くのは、なかなか難しいのです。
なぜ難しいかというと、歯茎に埋まった歯根の中の治療であり、外から見えないからです。
そこで、患者さんへの説明用模型を用いてお伝えします。

まず、根の病気(根尖病変)はどのようにして発生するのでしょうか。
歯の中には根の先から神経と血管(合わせて歯髄と呼ぶ)が入ってきています。
虫歯が進行し、細菌が歯髄に感染してしまうと、歯髄が死んで血流が無くなります。水が循環しない枯れ木のイメージです。
根の中の血流が無くなり免疫力を失うと、細菌は根の先へ先へと侵入していきます。
細菌は根の先で炎症を起こし、歯を支える歯槽骨を溶かして根尖病変を作ってしまいます。
この根尖病変は、痛みなく拡大していくため、レントゲン写真を撮って初めて発見されることも多いのです。
痛くないからと放置していると、突如として急性化して激しい痛みが出たり、根の治療では治癒が期待できず抜歯となってしまうこともあるのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

では、根の治療(感染根管治療)とはどういったことをするのでしょうか。
一言でいうと“根管内の感染源除去”です。
細菌に汚染された根の壁を「ファイル」と呼ばれる刃物で機械的に削ぎ取り、次亜塩素酸ナトリウム液などで化学的に洗浄することで細菌を減らします。
そうすると、歯槽骨には血液が巡っていますから、免疫力が働き、根尖病変が消失して歯槽骨の再生が起こります。
すなわち、根尖病変の治療は、菌の住みかを無くして、患者自身の治癒力が働きやすい環境作りをすることとも言えるでしょう。

根尖病変が縮小し、歯槽骨が再生していることがレントゲン写真上で確認できるのには、最低でも3ヶ月は必要です。
また、一本の奥歯の中には3〜4本の根管が通っており、その全てを綺麗にする必要があります。
以上の事からも、根の治療は時間がかかる治療であることがわかって頂けるかと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

根尖の外に住みついた細菌を直接除去することはできませんので、通常の感染根管治療では治癒しない場合もあります。
そういった場合は、『歯根端切除術』を行います。
歯根端切除術とは、歯肉を開窓し、根尖病変を感染源である根尖部分ごと外科的に切除する外科手術です。
歯根が短い場合や、奥歯で器具の到達が困難な場合は歯根端切除術の適応とならず、残念ながら抜歯を選択せざるを得ないこともあります。

根尖病変のほとんどが虫歯が原因です。
そして、虫歯を進行させてしまって歯髄を取ることで発症のリスクが上がります。
虫歯にしない、虫歯になっても初期段階で治療することが大切です。
定期的な検診で大切な歯を守っていきましょう。

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